ysheartの長い旅

観戦、観劇、鑑賞をきっかけに感傷に浸る旅の記録です。

#45 ゴッホ展

今週、平日に有休をとって、『ゴッホ展』を観てきました。

 

ゴッホ

響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

東京都美術館

2021年9月18日(土)~12月12日(日)

 

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東京都美術館で開催中。

 

人生で3回目の”ゴッホ展”。

 

1回目は、東京国立近代美術館にて、開催された、

ゴッホ展:孤高の画家の原風景 ファン・ゴッホ美術館 クレラー=ミュラー美術館所蔵』(2005年3月23日~5月22日)。

あの時は折り返した行列に並んで入場した記憶が。

夜のカフェテラス」が気に入ったのですが、こんなに美しい画を描く画家だったことを知った感動も含まれていました。小さなカードを買って、今も実家の自分の部屋に飾ってあります。

 

2回目は、上野の森美術館で開催の、『ゴッホ』(2019年10月11日~2020年1月13日)。

2005年の心が洗われる衝撃はなかったのですが、ゴッホがおもな作品を次々にのこした(つまり画家であった)のが、彼の人生の最後の約5年間に過ぎないこと、1885年の《ジャガイモを食べる人々》が一つの契機であったこと、ドラクロアに影響を受けていたこと、点描技法を学んだこと、等、より具体的な経過を知る機会になりました。

 

そして、今回が3回目。

前回の記憶がまだ比較的新しいので、そのことも手伝って、ゴッホの1885年~1890年の1年1年を丹念になぞるように鑑賞しました。

今回最も注目したのは、1888年ゴッホが南仏のアルルに滞在した年です。人は、1年の間でこんなにも波乱と起伏にとんだ時間を過ごせるものなのかと思うくらい衝撃的なものでした。この年に、海を描いた、《サント=マリー=ド=ラ=メールの海景》という作品があり、僕は、初めて観たような気がして、《夜のカフェテラス》に通じる、それ以来の感動を覚えまして、今回、この絵のポストカードと額に入ったスタンドを買ってしまいました。

ともかく、1888年のうちに、耳を切る事件も起きます。翌年は自ら療養院に入り、その翌年には、ピストル自殺を遂げてしまいます・・・。

 

世の中は残酷なものです。このようなひたむきな勉強家の才能には生前は冷たく財を与えず、死後に天才とほめそやして、それは本人が知るすべがない。

 

ドン・マクリーンの「ヴィンセント」という曲の入ったCDを持っていますが、ゴッホの絵を観るたびに、心の中に流れて聞こえてきます。

 

ヘレーネのような本気でその作品を伝えようというコレクターがいたからこそ、世界が彼を認めたのであるし、ゴッホの死後131年経って、僕がこうしてブログに書くほどその作品と人生に魅かれているのであります(←)。

 

今回は、スマホで予約して画面のQRコードを見せての入場、時代は変りますね(笑)

クレカ決済も何するにもそれが当たり前の世の中になっています。

ゴッホは有名なのでそれだけで長蛇の列のお客さんが来る。最初は、うっとうしかったのですが(←)、徐々に、人が集中するのを避けるのが上手になって、同時にゴッホの世界に集中することができて、素敵な午後になりました。

 

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国立西洋美術館の絵も毎回心が洗われる。

 

上野公園周辺は、博物館と美術館がたくさんあって、好きな人にはたまらない芸術空間ですね。国立西洋美術館は、改装中らしい。ル・コルビュジェの設計した外形は当然大事に再現されるだろうと思いますが、良い結果になることを願います。