ysheartの長い旅

観戦、観劇、鑑賞をきっかけに感傷に浸る旅の記録です。

#176 演劇レポ中野・赤坂編!ジョダンダンジョ、夏砂に描いた

18日、関東地方も梅雨明け。暑さの苦手な私にとって、手ごわい季節があっという間に来てしまいました。6月21日梅雨入りだったので、梅雨はまあまあ続いたわけですね。あたふたしているうちに、書きたい記事が渋滞してましたが、梅雨入り直後にリピーターしてまで観た、『ジョダンダンジョ』と、それから、21日楽日となる、朗読劇『夏砂に描いた』のレポートをしたいと思います。

 

Ⅰ ジョダンダンジョ

 

中野テアトルBONBON、6月28日は雨でした。

 

Wave'S 第4回公演

舞台「ジョダンダンジョ」

2024年6月26日(水)~30日(日)

計8公演:27日19時、28日14時・19時はアフタートーク

中野 テアトル BONBON

*ysheartが観に来た回:26日19時(初日)、28日19時(アフタートーク有の回)

 

脚本・演出 開沼豊

CAST(カッコ内は役名)

五十嵐啓輔(松風一平)、渡邊響(松風大地)、

百川晴香(Bety)(戸塚美咲)、武田智加(松風七海)、

堀田竜成(松風太陽)、八福☆みずほ、山下ナオ、矢野冬馬、垣内智稀、大塚優希、

中川涼香、三浦修、坂本真一、井関友香

STORY

ミレニアムだと騒がれ、ノストラダムスの大予言が外れたことを誰も気にしていないで生活を送っている日本人。スマホはなく、携帯電話ではドコモがIモードという画期的なサービスをスタートさせ、世間では慎吾ママの「おっはー」が流行し、どこのお店でもサザンオールスターズの「TSUNAMI」が流れていた。/まだまだジェンダーが叫ばれていない頃の話である。/女が「男女差別だ!」と本気で言っても、男がどこかヘラヘラと「ごめんよぉ」と受け流していた平成12年。/ここに、亭主関白がモットーの厳しい男を大黒柱とした、関東郊外に暮らすとある家族がいた。/まさか、世界がこんなことになるなんて・・・・・・・。】(フライヤーから)

 

百川晴香旧ブログから当ブログにかけて、2019年初め以来、メインキャストの一人であり、舞台のほか、アイドルグループ・全力少女R、Betyをみてきた。因みに、この方を初めて百川晴香さんなのだとちゃんと認識して観たのは、舞台でした)を久々に舞台で観られるという関心事だけで中野に寄りました。

そのため、今回の舞台について予備知識はなく、百晴のSNSポストから、いい話であるという趣旨のことしか情報を得ていませんでした。タイトルから、男女のジェンダー的な話(ただし現在混とんとしている倒錯した性の問題までは行くまいと予想、実際その通り)だとは想像できましたが。

まず開演前に、場内で流れていた「ちょこっとLOVE」(プッチモニ)、「SEASONS」(浜崎あゆみ)など、おぉ~2000年(平成12年)の曲が並んでいるなあ!とすぐに思いましたよ。上掲STORYにもあるように、「TSUNAMI」(サザンオールスターズ)もこの年ですね。僕はなぜかあの年、自分でヒットチャートを作っていてこれらの曲がYSHEART CHARTで1位を獲っていたので(笑笑笑)なおさら懐かしく思ったのです。

ちなみに当時僕は、まだ携帯電話も持っていませんでした・・・。

 

僕は、昭和の生まれなので(百晴は、たしか本作設定の平成12年ごろはおさなごだったので、平成の人ですね)、一平のような亭主関白が昭和でなく平成にいる設定に意外な感じを受けます(劇中、武田さん演じる七海のセリフからは、父親が昭和、みたいな亭主関白ぶりであることがうかがえますが)。

 

まあ、でも平成の前半(おもに1990年代、のノストラダムスは1999年7の月に地球が滅びると言っていたと記憶しています)には、昭和の延長だった感じはします。カルト教団や中学生による殺傷事件、阪神淡路大震災などはあっても、基本的な社会の雰囲気は変わりませんでした。

 

百晴演じる昔の明美(一平の妻)がお弁当屋にいて、若き一平と知り合うのは、(それより四半世紀くらい前になるとすれば)1980年代後半か。脚本・演出の開沼さんの少年期に相当するのでしょうか。お店のメニューが書いてある、マーカースタンドって今とどの程度違っていたかなと、思いながら、観ていました。今とそんなに変わらないのかなと。

 

(今、っていうのはつまり令和6年ですから、ほとんどは、少なくとも平成12年ごろから、21世紀のこれまでを通して大きな変化がないとすれば、それは何だかほっとさせられます←。いえ、時間の流れが速すぎることに寂しさを覚えるものですから)

 

ところで、この場面で、美咲がスローモーションで走るところだったり、ナチュラルな若い女性だったり、男女の世界が入れ替わったときの戸塚美咲の雄々しさだったり(笑)、それらは、百川晴香ファンにとっては、百晴のすべてがここに表現されているように思えたことでしょう。僕はそう感じましたが、終演後、百晴も全部演じることができたという趣旨の話をしてくれました。

 

さて話の本筋ですが、その男女の入れ替わりをキャストのみなさんそれぞれ活き活きと演じていらっしゃいましたね(笑)。28日のアフタートークで、一平の妻を演じた井関さんは、印象に残った/面白いと思った場面として、三浦さん演じるお店の主人が女性に入れ替わったときのセリフ「ヨーグルト?」を挙げていらしたのは、私も同意できます。そうあのセリフ。あれで、どこか腑に落ちて(笑)観ているこちらも自然な心持で次の場面に向かうことができるのです。

 

アフタートークの同じ質問に対して、百晴は、一平がマンホールの蓋を家に運んできた場面を挙げました。そんなに面白いものに出会ったなら手元に置いていろいろ試そう、みたいな感覚かもしれん。しらこばと水上公園での撮影タイムで、プールにちょっと入って手で水をかけてたらスタッフに注意された時の、百晴を少し思い出しましたが(笑)

 

ジョダンダンジョのパンフレットとブロマイド。

 

僕は、どうかな。今でもすぐ思い出す場面は、一平が呆然となって立ちすくんだ時に、左手で左の頬をかくところですね(笑)家事に追われるくだりも良かった。共感とまでは行かないかもしれませんが、これで一平の心境に変化が表れていくんだなという場面です。

 

ストーリー全体の感想を。

百晴が28日終演後のチェキの時にも、SNSでも事前に言っていた通り、よい劇だなと思います。26日も切なく温かい気持ちでしたが、28日は少し涙も出そうでした。

自分の想いで突っ走っているうちに、かけがえのないものを見落としてしまう。僕自身は、それが嫌で、見落としたかもしれないものを拾い集めようとした(人生をやり直そうとした)時期がありましたが、それでもなお、今振り返って、それはそうそう容易なことではない、その時生きた、そのことをまったく新しいもので埋め合わせることは、不可能に近いのかもしれない。

男女が入れ替わって、もし相手の立場だったら、と考える機会が得られたけれど、妻の死は避けられないものとして訪れる。新しいもので埋め合わせられない限界がある。

 

それでもそれを乗り越えた後で、希望というか、優しさを知って、確信をもって前に進んでいける気持ちにさせてくれたような気がします。

 

28日は雨だったんですが(私は28日については、有休をとって万全を期して来たのですが)、井関さんの電車に傘を忘れないようにというご挨拶がしっくりきました(笑)

あと、百晴のXポストへは、今回、2回は観に行きますと伝えてあり、その通り、2回観に来れて、約束通りに行動したファンとして百晴に喜んでもらえたのではないかと思います、それをチェキの時本人にも確認できました(笑)

 

以上、1か月遅くなってしまいましたが、リピーターできた貴重な観劇のレポートでした。

 

中野のいくつかの劇場が集まった場所。今回の会場は、テアトルBONBON。

 

そうだ、26日には、3つ4つ隣の席に、Betyのメンバー、結貴澟南さんが個人的に観劇に来ていらっしゃいました。帰りの中野駅に向かう通りでは、私、本人の横を通り過ぎました(笑)

 

Ⅱ 夏砂に描いた

 

πTOKYO 夏の朗読祭り

夏砂に描いた

2024年7月16日(火)~21日(日)

πTOKYO赤坂

脚本/演出:えのもとぐりむ

A Team:

16日(火)19時、18日(木)19時※ysheartが観た回、

20日(土)15時半、19時、21日(日)14時

早乙女じょうじ(16日・18日のみ)、清水凛、咲田雄作(20日・21日に主演)、

藍澤慶子、宮下涼太、木村望子

音楽:咲田雄作

B Team:

17日(水)19時、19日(金)19時、20日(土)12時、21日(日)18時

早乙女じょうじ(17日・19日)、出口亜梨沙、咲田雄作、

椎名朱音、安達健太郎20日・21日)、岡本安代

 

夏の朗読祭り。

 

この会場はコロナ後の時代に一度来たことがあります。その時も朗読劇でしたが、その時とはイスの配置など変わりました。

今回も、私の好きな朗読劇のジャンルです。

木村望子さんは、旧ブログでご出演になった舞台についてレポートした際に、感想をコメントいただき、それ以来、しばしば観劇させていただいています。今回、お会いしてお話できたのは「2年半ぶりくらいかと」申し上げましたが、否、2019年の後半以来だったかもしれません。ともかく、お会いできてよろしゅうございました。

 

いま上演中なので、ネタバレにならない範囲で書きますと、朗読しながらもその世界を動作で表すところに、その演目あるいは役者さんの個性が発揮されるのが朗読劇の面白さであり、本作でも、5者5様の良さで、そのストーリーに引き込まれました。

 

夏、海岸といえば、こういう言葉のやりとり、という柔らかさが流れている約80分の世界。もっとも、昔ならAORサウンドに乗せて、ひと夏の恋が描かれる映像作品などでこういう海岸物語はあったような気がしますが、そういう定番に辟易した私には、今回の何人かの人間模様が(それが別々なのかどうかは観てのお楽しみ、明日までですが)聴く私たちの日々の人生への感覚に響いてくる、そういう程の良さを感じました。瓶のコーラを飲みました。

 

人生への感覚、つまり、海岸は若いひと夏の恋愛だけのものではなく、浦島太郎のように、意に反して長い年月を通り過ぎ、老いてしまった人たちにとっても、あの頃に帰る場所であり続けるのです。

私自身も、例えば、21世紀が始まったころの自分とは、心はともかく、環境もまわりの人々もすっかり変わってしまいました。他方で、否、変わっていないはずだ、という気持ちが、いまだしつこく私の中に残っているのですが、どうなんでしょう、みんなのすっかり変わった姿や容貌をみとめなければ、僕はあきらめないのでしょうか(笑)

まだ、しがみついて、やりたいことがたくさんある、そんな私ですが、一方で、終活への覚悟をもって自分の身辺を整理しなければ、という想いもあります。

実際、6年前でした。高校の同窓会に参加して、同じクラスの女子がひとり、すでに亡くなっていたことを知らされたのです。僕が自分の無力さに荒んでいたのを、平常心で見守ってくれていた人でした。地味な人で大きな印象を残さないままでしたが、僕は何か大切なものを失っているのかもしれないと、その時思いました。

 

実は、さほど大げさなものではなく、人生の人となりとは、そういうものなのかもしれません。本作の中でもありましたでしょうか、後で”死”を知らされるということ、自分はそれを知らされる/知ることのないまま何年かを過ごしてきたこと。

しかし、そうであっても、今あるご縁、人との出会いは、警戒しすぎず、自分が思うよりも人の世界は優しいのかもしれないのだ、ということを時には、思っていいのでは?ysheartよ。

本作は、そういう自分の日頃の些細な葛藤に対する、よき清涼剤だったかもしれません。

 

πTOKYO赤坂。向かいが旅館。7月18日。

 

赤坂の街もね(・▽・)/、

この日、食事したりしたのですが、偶々なのか、お店の人に人らしさというか優しさを感じたのですよ。

赤坂は、いい街になるのかな、この自分の中で。

 

結び

 

以上、演劇レポートでした。

2024年も早いもので、半分と少しを折り返しました。

いま、外は、きょう土曜日は暑い中、外を歩いて大汗かいていましたが、夜すっかり大雨の音がしています。

ふりかえると、今年はここまで、予算がしんどいわりには、観れているなあ。

後半もよい舞台に会えますように。

 

みなさん、明日もよい日曜日をお過ごしください。

 

長い旅2024 つづく