ysheartの長い旅

観戦、観劇、鑑賞をきっかけに感傷に浸る旅の記録です。

#201 みえないもの・師走の下北沢「劇」より

師走です!早いもので、2024年も残り1か月を切りました。ysheart(ワイエスハート)の長い旅2024もクライマックスに突入、今回は私のアジトのひとつ・下北沢から、演劇のレポートをお送りします!

 

アンティークス20周年公演

Vintage32 みえないもの

2024年12月4日(水)~12月8日(日)全8公演

下北沢「劇」小劇場

※私(ysheart)が観た日:12月6日(金)19時

 

12月6日朝の看板。当日券あります、とのこと。

 

【脚本/演出】岡﨑貴宏

【出演】山本秀樹、宮崎明音、能勢夏芽(以上、アンティークス)

吉村歩華、森耕作、冨岡奈央(劇団道学先生)、土田ななみ、みすみのり、

坂本とんか、左良拓司(劇団NLT)、浴本桃乃(劇団ひまわり)、

菊池健光、鈴木涼夏、ノナカモヱリ(anonet)、時村雄大、北久保実佑、木村望子

※以上敬称略

 

当日、ソワレ(19時)の入口。

 

本公演のフライヤーの言葉、

目にはみえない人の気持ち、悪意、善意、蔑み、暴力への恐怖、音、不安、その全てが「心」に突き刺していくように感じられました。そんなとき、その「存在」が私の前に現れました。

からは、心の中の物語だと予想はできたし、やはり、近年、自分の心の立ち位置にかんする表現には欠かせないワード”世界線”も頭に浮かんできました(実際、劇中に、みく(みすみさん演じる)が「人はそれぞれが見ている世界線で生きてるんです。その交わる点で、ある一つの世界ができあがっていく。」(販売用上演台本から。以下、台本と記す)と話す場面があります)。

しかし、物語の具体的な展開は全くイメージできなかったので、そこまででフライヤーなど見るのはやめて開演をただ待つことにしたのでした。

そして開演。

 

序盤、看護師石塚さん(ノナカさん演)には、さな(鈴木さん演)が見えない!時点で、これは難解な話になるぞと察したので(笑)、人物ひとりひとりを注意深く追うことに集中しました(YSハートの超人技、のひとつ、ブレインストームスパイラル発動 ←笑)。

 

だんだん見えてきたのは、最初の場面から病棟にいる、みくが、何らかの理由、おそらく自分自身を回復するために、自分の周辺の様々な人たちの意識を観察しては、時にそれらの人々の最善の状態に導いていく、その過程を私は見ているのだろう、ということでした。そして、みくも自分の回復のために、過去や未来に時空を超えて冒険するわけです。

 

心の世界なので、実態はあってないような存在。だから高校の不良(後に子育てに悩む)・愛理(北久保さん演)の突き飛ばし行為などもかわす。

ただ、みくは途中から、有希さん(坂本さん演)の行動や生い立ちと重なるような描写があることに、私、気がつきまして、やはり、みくの意識と有希さんとが重なっているようです。最後は、みくの人となりが明らかになると同時に、すべて?の事実やあるべき方向が明確になって、みくの目覚めへと至り、物語はしあわせな結末を迎えるのです。

 

正直、もうひとつの群である星野母子(母はる・姉百合・弟俊介=冨岡さん浴本さん山本さん演)と、みく・さな・たみこ(望子さん演)らの接点がはっきりせず、僕の中でまだ回収できていない部分があるのも確かではあります。

が、それぞれが、生死を超えた絆に支えられて生きていく、あるいは、在り続けることの大切さを想いながら、物語の幕まで見届けました。

 

今回は、たみこを演じた木村望子さんの応援のために来ました。

当日券で前触れなしでうかがったので、望子さんには驚かせてすみませんでしたが、喜んでいただけまして。金曜日は、一般のお客さんは土日に比べればそれほど来ないようで(それでもこの日、開場時刻直後こそすっきりしていたものの、開演時刻までには、ほぼ満席に近い状態でしたね)良かったです。

はじめ難解に思えたけど最後にはわかった、面白かった、役者さんたちこの難しいストーリーをよくこなされましたねと申し上げると、みんな分かって演じている人はいないと謙遜されていました。現実と観念の世界との境界を時折越えながら役を演じとおすというところは演技の大変なところかなと思われますが同時に役者さん自身も楽しまれていたのかもしれませんね。

 

しかし、先に台本から引用したように、私自身が認識している世界線と、他者がそれぞれ認識しているそれぞれの世界線とが交差した時、他者から見た私、私から見た他者というものがあるのであって、そこで互いが分かりあうチャンスがある一方で、互いの助け合いがあってこそ、互いに救われるのだろうな、と思ったのであります。

今の時代にあらためて、互いへの寛容さ、いたわりが求められていることを問いかける、といった意味で、混乱した現在の社会にタイムリーにやってきた作品ではなかったでしょうか。この、下北沢という町の一角に過ぎない、ほんの小さな劇場から発信する電波を、受け取れなかった多くの人へ発信するために、僕は、このブログで感想をお送りしています。

 

終演後の夜に浮かぶ小劇場の勇姿。12月6日撮影。

 

 

そうしてみると、なんか、

2024年の暮れも押し迫る時に私、ええ仕事したな(←笑)

 

 

最後に、その他思ったことを付記すると、

望子さん以外で、演技が特に印象的だったのは、星野百合を演じた浴本さんでした。

携帯で、母はるの見舞いに来ない弟に怒鳴る場面は、声も大きく口調も乱暴な感じで荒っぽいのに、それすら何度も聴きたくなりそうな(笑)、どこか人の優しさを感じさせる雰囲気が不思議に好感が持てたんです。自分の離婚問題?が暗礁に乗り上げる中でも、肉親への想い、家族間で頼れるものを求めるものを強い調子の後ろに隠し求めている、そういう百合の姿だったのかもしれません。

 

外から入ってきて理不尽な不良と闘うかなこさんの強い姿を演じた吉村さんも共鳴できる部分がありました。僕は、小学2年生のころ転校したり、高校で苦労したり、大学を編入したり、転職で大変だったりで、人間関係で途中で外から加わる場面が多い半生を過ごしてきていますので、こういう時、かなこのような存在に感情移入しやすい自分を想います。

 

案外、余韻に浮かんでは消えているのが、左良さん演じる羽鳥の振舞い方です。結婚しない限り二重三重に別の女性とつきあえるっていう感覚か…

( ..)φ(←メモるなw)

 

最後に会場を出るとき、台本を買う際に、かなこ役(吉村さん)や心星役(能勢さん)の方などが物販や見送りにいらして楽しい気持ちでした。

また、望子さんからいただいた、”栞”のメッセージは、さな役、有希役、伸一役のお三方から(鈴木さん坂本さん時村さん)でした。ありがとうございました。

 

あと、花札ちゃんと覚えたくなりました(笑)

 

終演後に買った、上演台本(販売用、1000円)。昨日読んだ。

 

以上、「みえないもの」の感想でした。キャスト・スタッフの皆様、その他演劇ファンの皆様も。本日マチネが千穐楽でしたね。全公演終了おつかれさまでした!

 

 

追記

 

予算と時間の都合上、(A)仕事帰りの金曜日の夕方、当日券で入るか、(B)仕事帰りでなく、休日の気分で土日の前売券で入るか、でしたが、土日の前売完売と出ていたので、いちばん気持ちの乗った時が良いとも思えて、(A)を選びました。金曜の朝早く、知っている場所なのにわざわざ下見に来るysheartでした。

夕食後、「劇」小劇場へ。入場するのは、随分久しぶりかもしれませんでした。

 

朝の小劇場と、通りの景色。12月6日撮影。

 

さあ、

2024年ysheartの演劇レポートは、おそらく年内あと1回くらいになると思われます。

演劇編のトリを飾るのは誰出演のどんな公演か!?

舞台袖に見える影は誰か!?(笑)

私の超人技のひとつ、マシーンエンペラー発動成るか!!(←何だよそれ)

 

お楽しみに!

 

長い旅2024

つづく!