ysheartの長い旅

観戦、観劇、鑑賞をきっかけに感傷に浸る旅の記録です。

#26 意を決して新宿末廣亭

今日4月25日の日曜日、多くのイベントが中止・延期、会場は休業・・・と、文化的、芸術的な活動すべてが、はっきりしない理由でわれわれ国民の生活からシャットダウンされる。3度目の緊急事態宣言発令だ。ほとんどの国民が望まないはずのオリンピック・パラリンピック開催を優先するため、遊園地の無観客要請までなされる状況は異常である。今の日本に国民のための政治は、ない。今日は朝早くからそういう絶望的な気分に陥るはずだった。

ところが、さいわいなことに、朝から面白いニュースを目にした。東京都内に4つある寄席が、東京都から無観客での興行の開催を要請されたのに対して、寄席は、当該要請文に記された例外規定、すなわち「社会生活の維持に必要なもの」に当たる、との判断から、無観客要請に応じない姿勢を明確にしたのである。正確には、それを判断したのは、東京寄席組合、落語協会落語芸術協会だとのことだ(24日付朝日新聞配信より)。

そういえば、僕が最後に寄席を聴きに行ってから久しい。文化の発展を願うysheart、文化を担うみなさんの力になろうと、そしてご無沙汰だった落語脳の活性化をもくろんで、新宿末廣亭、昼の部(12時~16時45分)にやってきた。

 

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四月下席。

 

序盤は座席に余裕があって、ゆったりと聴けた。

柳家小せん師匠の「あくび指南」(冥王星の欠伸は5年前になくなった、というくだり結構好きw)、桃月庵白酒師匠の「茗荷宿」のテンポの良さ、等々があってから、途中で本来ない換気のための中入りを挟んで、林家正楽師匠の紙切り(職業病で新聞を読むときも体を揺らしていないとすまないみたいなことを仰るのは以前テレビでも拝見したけど、今回も見事で、楽しい)、春風亭一朝師匠の「唖の釣」(殺生禁断の寛永寺の鯉を釣る噺)など、だんだん気持ちが入ってきたところで、本当の中入り。

それから、理学療法士から噺家に転じた経歴の話が面白かった古今亭ぎん志師匠、個人的に今回いちばん笑った春風亭一之輔師匠の「堀の内」(すかっとする目まぐるしさと新しいアレンジが最高であった)、橘家円太郎師匠の「桃太郎」(小学生の娘さんの首相に対する考えなど才女ぶりが面白い前置き)、初音家左橋師匠の「義太夫」などで昼の部が終わり。一之輔師匠がマクラの時、さっき外を散歩してオープンカフェが満席で無法都市みたいなことをおっしゃっていた(笑)

しかし、実際、帰る時に、通りすがったカフェは、本当に密で、もちろん食事だからノーマスクで(外国人の顔が目立った)いる光景。もう歯止めが利かない区画もある、本当に外出時の行き先を慎重に決めなければと、決意を新たにした私であった。

もちろん、今日訪れた末廣亭は、細心の注意を払っている印象だった。座席での食事禁止、飲み物も飲んだら再び即マスク着用などチェックされていた。入場時の消毒、検温は当然行われていた。

浅草演芸ホールもご無沙汰だが、また訪れたい。

 

緊急事態宣言発令の対象となる理由、どこからどこまでを制限するのか、きめ細かく考えてほしいのだが、今の行政、政府にはそれを期待できまい。国民の中にも、自分自身を管理できない大人がかなり多い。寂しい日本社会の現実がある。

文化のため、何が発信できるか、どのような行動が自分一人からでも可能なのか、考えていくのが、今日から私ysheartが進むべき道である。

 

 

5月1日、追記。

4寄席会場とも、5月1日から5日間、結局、休業するらしい。

尻をまくったが、結局、尻すぼみ、か。

残念!