ysheartの長い旅

観戦、観劇、鑑賞をきっかけに感傷に浸る旅の記録です。

#67 シン・ウルトラマン~山本さんが全部持って行った!?~

5月13日公開の映画『シン・ウルトラマン』。このところ映画をなかなか観れていないysheart、これだけは絶対に観ようと決意し、5月初旬には、早くも、横浜みなとみらいのランドマークプラザで、シン・ウルトラマンと会っていたのです。

 

5月に、みなとみらいの展示品を見る。スペシウム光線のポーズ。

ランドマークプラザ内、フェスティバルスクエア。

残念ながら今日17日までの時点で、本作品を観たのは、今月中にわずか2回。ですが、余韻は消えることなく、言いたいことがはっきりと僕の中にいくつもあります。それをここで書き留めておこうと思います(あと数回は観たほうが、もっと良い感想が書ける気がしますが)。

 

「シン・ウルトラマン

監督:樋口真嗣/総監修:庵野秀明/音楽:宮内國郎鷺巣詩郎

主題歌:「М八七」米津玄師

おもな出演者(カッコ内は役名):

斎藤工(神永新二)/長澤まさみ(浅見弘子)/有岡大貴(滝明久)/

早見あかり(船縁由美)/田中哲司(宗像龍彦)/西島秀俊(田村君男)/

山本耕史(メフィラス)

岩松了嶋田久作益岡徹長塚圭史山崎一和田聰宏堀内正美

小林勝也利重剛竹野内豊

ほか

声の出演:高橋一生山寺宏一津田健次郎

 

ところで今日7月17日は、『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」放送日(1966年)ですね。オープニングのタイトルバックが「ウルトラQ」から「ウルトラマン」へと移行しました。

それに対し、本作は、『シン・ゴジラ』から『シン・ウルトラマン』へ。これが次は、本編前の上映予告の中の一作『シン・仮面ライダー』につながる。『シン・・・』シリーズは、昭和特撮の新時代仕様としての集大成のかたちで監修されるわけですね、庵野さんの手によって。

 

複雑な心境です(・_・)←www

 

それはそうと、本作品の感想を。

 

今月上旬に買った、パンフレット。

 

どうしても既存のウルトラシリーズの、勿論、昭和のテレビシリーズの記憶と関連付けて、比較して観てしまうのは避けられないんですが、

結論を言うと、思っていたよりは面白かったですし、いちばん重要なのは、テレビシリーズの良さを活かしている点が多かったことです。それで安心できた箇所が多かったのです。

具体的には、音楽です。科特隊のBGMがほぼそのまま使うべき場面で使われており、ウルトラマンガボラに仁王立ちから歩みを進めて距離を縮めていくシーンでかつての音楽が効果的に用いられていました。ここは、ウルトラマンの世界と向き合う私の気概と作品のエネルギーが一致した感覚、とても魂に響く感覚でした。

また、俳優陣は、何より、斎藤さん演じる神永、先ず声の質が素晴らしい。次に、動作は、黒部進さん演じるハヤタ隊員がまさにこういう雰囲気でした。走りながら、ベーターカプセルをほぼ体と水平にかざす姿勢や、コーヒーをもって入室して来る姿勢。もっとも、ハヤタは、テレビシリーズで39回のストーリーがあるので、もっとヒューマンでしたが。

そして、禍威獣の未知であるがゆえの恐怖やスペシウムの瞬間、ザラブやメフィラスが地球に来る動機、最終兵器ゼットンエヴァンゲリオンの終盤を思い出す)の究極的な解釈、ゾーフィを含めた光の国の戦士が地球に来たのは決して”ぼくらのために”じゃなかったところとか、令和の現代ならではの新しい感覚に合うような論理性を前面に出している点が、本作品がシリーズとは別に固有に持っている面白さだったと思います。

 

”固有の面白さ”の究極は、やはりメフィラス好きのysheartにとっては、山本耕史さん演じるメフィラスのエピソードでした。

山本さんの演技は、2016年NHK大河ドラマ真田丸』の石田三成が本当に気に入っております。今回も、そのスマートで心に残る好演で、すべてを食ってしまっています。主役です(笑)

「私の好きな言葉です」「私の苦手な言葉です」は何度でも聞ける(笑)

リズムがあっていい。浅草だったかの居酒屋のシーン、良いなあ。料理もおいしく、商談もスムーズに和やかに行くべき(笑)メフィラスの言っている内容にも説得力があるかのように聞こえてしまっていました。

山本さんが本作のよいところを全部持って行ったか?と思えるくらいの存在感がありました。

2回観て、ザラブとのアプローチの違いが際立っているのを感じました。

 

巨大化したメフィラスとウルトラマンとの戦闘シーンは、最初に互いにジャンプ気味に後方に引いてから始める辺り、先日、第33話「禁じられた言葉」上映を観ても、ああ、ここは同じだったのだなと確認できました。「止そう」と、メフィラスから戦いを止めるところに、ゾーフィの影を絡めてくるのは本作ならでは。33話のほうは、地球外の星人同士で戦うことを無意味だと判断したメフィラスの主体性を感じるのに対して、本作では別の力学も働いているのを感じます。

 

ところで、いま、あらためて33話を観ると、子どもの頃観たよりも、メフィラスが乱暴だなという印象を受けます。そんなはずじゃなかったんですが(笑)

もっとスマートでほとんど手を出さない宇宙人で、どこが悪質なのかと思っていたほどですが、よく観ると、結構、巨大フジ隊員や他の宇宙人の扱いなど楽しんでいるように見えます。それに比べると、本作の山本メフィラスは、長澤さん演じる浅見の巨大化動画を全削除してくれたりと、よっぽど良質に見えてしまいます(笑)

 

『シン・ウルトラマン』を観た映画館のひとつ。

 

さて、このように、本作品ならではの面白さが良かったと思える一方で、やはり、かつて見たシリーズの昭和ウルトラマンのほうに親しみを感じるのは、どうしてか。

 

アニメーターからの庵野さんによる監修だからなのか、

先ず、禍威獣の描写は、人間の科学では理解できないような怖さが画像の技術を駆使して強調されて、非自然的であることで、かつての、”土の中から出てきた生き物”のような自然と共存している雰囲気が感じられない(中の人が動かしている感じがない 笑)。

台詞が、アニメ作品のような、いかにも物語的な人工物のような感じを受ける場面がいくつもあった。また、その反面、非常に論理的なところ、より現実的に語ろうとするところを感じて、そんなに世の中、誰も均一的に(そのようにさえ感じられた)理知的な言葉の運びをするだろうかと、少しうがって考えてしまった。

禍威獣・外星人の選択が、非常に哲学的なほうに向かったため、ザラブ、メフィラス、ゼットンという流れになった。それはいいけれど(つまりこれは僕が気に入る入らないの問題とは異なる)、Twitter上で少し前に、ウルトラマンで好きな怪獣はとのアンケート(投票)の結果、ジャミラなどが選ばれたが、以前はレッドキングゴモラが上位に選ばれたはずだという趣旨のツイートがあったのを思い出しました。そうだ、今回は、バルタン星人も出ませんでしたね。

 

令和の現代は、人々はそれぞれに論理的に体系的に、自分の知識を持っているように思うんです。それで、こうした特撮のストーリーも、できるだけ多くの問題(ひとつの問題が起きたらそれに派生して別々のジャンルの物事にも問題が生じるというイメージの中の問題の群れ)に矛盾がないように、物語を構成し実際に反映することが求められます。

 

それが、スキのない映像や台詞、ストーリーを生み出すことにつながるのでしょう。そのひとつの表れが、本作品だと思います。

これはこれで面白かった。しかし、非人間は非人間、種が異なれば、出自が異なれば、そこに人間の情が入る余地はない、そういう、冷めた突き放した感じが根本になるように思えたのも正直な感想です。

 

でも結局、これが2022年現在の表現なのだろうなあ・・。

 

頑張るぞ。

 

おそらく、僕の感覚を受け止める人も少なくなっていくでしょう。

最近思うのは、自分の得てきた価値観、具体的には充実感などの率直な感覚も含めてそのようなものを、守って生き続けることが、自分自身をしあわせにし続けることになるのではということです。他人に共感してもらうことをどうしても期待するから、それが夢幻だとわかった時に、絶望も大きい。

 

天は自ら助くる者を助く。

 

私の好きな言葉です。

 

 

【おことわり】

今後、気がついたことを追記する可能性があります。

【追記】

堀内正美さん(たぶん)見っけ!話す声で分かった(たぶん)

メフィラス星人(初代マン33話登場のほう)のソフビ、実家にあるのを持ってくればよかった。

③ついでながら、7月14日は、『ウルトラマンX』の第1話放送日でした。百川晴香さんがルイルイ役で出演されました。