ysheartの長い旅

観戦、観劇、鑑賞をきっかけに感傷に浸る旅の記録です。

#10 のんと駆け巡る小さな夏の旅

8月30日の日曜日、夏は終わりを迎えています。ここ1週間で、ツクツクボウシの鳴き声が当たり前になってきたのを感じております。とはいえ、まだ本当に暑さは変りませんね。

東京都から出ることがいろいろな事情で憚られる情勢の下、夏の終わりの外出も、都心への電車による1時間以内の移動ですむ内容に終始しましたが、ysheartは、美術鑑賞など静かなイベントも大好きなので、このような状況でも楽しむ気持ちは健在です。この週末は、九段下から歩いて、国立近代美術館へ行きました。

 

Peter Doig ピーター・ドイグ展

2020年2月26日(水)→ 6月14日(日)※10月11日まで延長

 

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東京国立近代美術館、8月最後の週末、やって来た。

 

音声ガイドのナビゲーターは、のん(能年玲奈)さん(女優・創作あーちすと)ですから、普段、美術館でめったに音声ガイドに頼らない私ysheartでも、今回は、借りました。のんのファンとして、これはぜひ、聴きながらまわりたいと思って来ましたよ。2月から来たいと思っていて、ようやく来られました。事前予約で行くのが確実のようですが、当日でも普通に入場券を買うことができました。

ところで、私はピーター・ドイグを知りませんでした。1959年スコットランドエジンバラ生まれ。(スコットランドは、私がポーランドの日本語授業で知り合った元学生のズザさんが暮らしていますので、行ったことはないけど親しみを感じる場所です。エジンバラの風景の写真も送ってくれました)。

現在も活躍中のドイグさんの絵画作品は「ゴッホマティスムンクといった近代画家の作品の構図やモチーフ、映画のワンシーンや広告、彼が過ごしたカナダやトリニダード・トバゴなど、多彩なイメージを組み合わせ」(フライヤーから引用)たものです。

僕は、まず、キャプションでは2番目の「天の川」の、たくさんの色を繊細にちりばめた美しさに惹かれました。続いて、赤系の色を上手に使っている「のまれる」という題名の作品の、油彩ならではの自由で大胆な色と筆使いのすばらしさに引き込まれそうになり、ここでの、のんさんのガイドを聴きました。が、白いボートと人は、13日の金曜日の、ジェイソンから逃れて最も安心を得た場面だという趣旨の内容に、固まりそうでした(笑)

ふうん・・・ドイグさん、そう考えるんだ・・・←w

このあと、3回ほど、東京国立近代美術館主任研究員の桝田さんの解説にもあった話によると、ドイグは、上述した通り、もともとある画家の有名な構図や、映画のシーンから自分でイメージして風景を描くことをするようです。

これは、風景は想像で描く可能性はあるとはいえ、そこまで既存の何かをモチーフにするとは!と驚かされました。そうか、本当に自由なんだなと。アーティスト、そこまでふりきっていいんだなと(笑)

それをドイグ固有の世界、オリジナルな表現として提示できるのか。そうなると、これらの表現物の本質は、何だろうか。考えてみると、面白いテーマかもしれないと、少し思いました。しかし、先の「天の川」にせよ、ホラー映画をモチーフにしていると気づかされる前の「のまれる」にせよ、それに一度、感動してしまっている以上、自分の名誉のためにも、その本質というものを追究してみる価値はあるでしょう。

それはそうと、そのまま観ていくと、タイトルは忘れたけど、空と、建物が2棟こちらを向いている陸地と、川べりの3面が色彩を対比的に並行的に描いている絵があって、これも僕は好きな絵です。

似たような構図で、手前に女性、少し遠くに男性が、浜辺で横になって、月が浮かんでいる、「夜の水浴者たち」これも、人が明確に描かれている中では結構気に入りました。人がたくさん描かれている作品で、ゴーギャンとかマティスをほうふつさせる作品も良かったな。あと、最後に、少し小さな額におさまっていたが、3人が演奏していた絵があったかな、あれも僕は好きです。

のんさんは音声ガイドで主に、人物が描かれている作品の解説を読んでくれました。絵の世界を純粋な気持ちで遊泳している雰囲気で、しかしよどみない優しい語りに、良い時間、”想像の旅”のひとときを過ごさせてもらえたと思っています。

 

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のんカレンダー8月は、涼しげな色の衣装で。

 

さて、8月のカレンダー、のんさんも心をくすぐる素敵な写真です。9月はまたうってかわって、〈あーちすと〉な、かっこよい写真になるのを、このあいだちらっとめくってみて僕は知っているのですが(笑)。

ともかく、のん(能年玲奈)さんにかかわる様々なリモート的催しがある中で、僕が接することができたものは僅かで、また地味でもあります。が、ひとつひとつ自分の中では大きな感慨をもって迎えて、自分の励みにしています。

この夏、のんさん関連であったことを顧みると・・・。

 

1.のんとも。M  lalalaにちようび

5月終わりに、のんさんの音楽のために、歌入れするプロジェクトに参加。ヴォイスメモアプリで録音したmp3をファイル化して送信したのですが(これはこれで、アナログなysheartにとってはハードな作業だったわけですが;)、7月終わりに公開された、のんさんの動画には、ちゃんとクレジットされていて本当に感激し、何か、のんさんのお仲間になれた気持ちでうれしかったです。

 

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NHKテキストと、『モモ』。

 

2.ミヒャエル・エンデ作『モモ』の朗読

Eテレ『100分de名著』(毎週月曜日22時25分放送、水曜日再放送)、8月の教材はドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデの作品『モモ』。4回にわたり、心理学の河合俊雄先生、伊集院光さんらと作品世界を分析しました。僕は、以前、中途半端になっていた本作の読破をめざし、のんさんの朗読に一生懸命についていきました。これはまだ、読み終わっていませんが(読みだすと、なかなか容易には終わりません)、あと少しです。

ユング心理学の考え方から見たモモの描かれ方について興味深い話が聞けましたね。

また、大島かおり氏の日本語訳(岩波少年文庫)は、子どもらしい夢のある感覚を良質な日本語で表現してくださっています。

なお、のんさんの声は(さきのドイグ展もそうですが)朗読やナレーションにとても温かみを込める素敵な声です。

この共通した声の性格の持ち主についてysheartは、ここ15年間で、3人の女性に遭遇しています。最初の一人は、演劇関係で知り合った方、2人目が、のんさん、3人目は、いま応援しているアイドルグループに一人います。いずれまた話題にすることがあると思います。ともかく、叙情的な良い声です。

 

以上ですが、もちろん、音楽も映画も、進行形でやっていらっしゃいますね。映画のほう、今年の夏も『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』上映されまして、戦争の悲劇を語り継ぐ術がなお続いていくことに希望が持てます。また、『星屑の町』これから上映の映画館もあるようでうれしいです。きょう30日は、首都圏では、深谷シネマで上映開始のようです。

このほか、岩井俊二監督の『8日で死んだ怪獣の12日の物語』首都圏では、3か所、しかし、いずれももう、レイトショー化しておりますね。僕は、ようやく、のんさんの活動に関心を大きく向ける余裕ができましたので、映画を観る機会をとらえるよう注意していきたいと思っています。

 

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東銀座にある「いわて銀河プラザ」。アイスクリームで一息。

 

以上、夏の終わりの、のんファン近況報告でした。

そして、このほか、美術館、映画、音楽の話題、当ブログは、どこかへ行って鑑賞した、観劇した、観戦した、ものなどを通して、想いを語るブログですので、これらにアンテナを張りなおして、コロナ禍の状況でできる範囲で何か伝えていこうと思います。

明日で、本当に、2020年8月は終わりとなります。みなさんの夏休みはいかがでしたか。どこかへ行けなくても得たものがありますように。