ysheartの長い旅

観戦、観劇、鑑賞をきっかけに感傷に浸る旅の記録です。

#44 戸川純のライヴようやく初めて見た@クラブチッタ川崎

仕事は定時で退勤、天才的な速さで電車を乗り継いで都心から川崎へ!戸川純さんのライヴを観に来ました。平日の夜早い時間帯。ギリギリで滑り込むのを覚悟していたが、余裕をもって入場できたのはうれしい。

 

JUN TOGAWA LIVE 2021 AUTUMN

戸川純

CLUB CITTA'

2021年11月11日(木)17時30分会場・18時30分開演

 

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クラブチッタ川崎にて、11月11日夜。

 

メンバー:(ステージに向かって左から)ヤマジカズヒデ(Gt)、山口慎一(Key)、矢壁アツノブ(Dr)、戸川純(Vo)、中原信雄(Ba)、ライオン・メリィ(Key)

 

先月24日に、タワーレコード渋谷店で、戸川純さんと吉田豪さんのトークイベントを観て以来。戸川さんを本来観るべき場所で観る時が初めてysheartにも訪れました。

 

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タワレコ渋谷店。LP『玉姫様』帯に、ゲルニカ。左下は、イベント参加券。

 

以下、LP『玉姫様』と、あとは「好き好き大好き」やゲルニカ「銀輪は唄う」など断片的な知識しかなかった私なりに、音源と実際の楽曲の感じを調べながら、あとはライヴ時の記憶を帰りの電車内で起こしたメモ帳をもとに、以下、セトリですが、曲名に誤りあったらすみません。

 

1部

1.怒涛の恋愛

2.ヴィ―ルス

3.ロリータ108号

4.恋のコリーダ

5.ヒステリヤ

6.ラジャ・マハラジャ

7.12階の一番奥

8.諦念プシガンガ

9.夜が明けて

10.Men's Junan

19時30分から20分程度休憩時間

2部

11.玉姫様

12.おしゃれババア

13.アイドルを探せ

14.吹けば飛ぶよな男だが

15.赤い戦車

16.蛹化の女

17.森の人々

18.バージンブルース

19.母子受精

20.バーバラ・セクサロイド

21.好き好き大好き

22.電車でGO

ENC

23.パンク蛹化の女

21時10分ごろ終演。

 

Cf.  『玉姫様』収録曲は、1、8、11、16、17。

 

2021年3月のチッタでのライヴの様子を動画で少し見たら、戸川さんがロリータファッションで、座って歌っていらしたので、(80年代の映像を見たことがありますが、その印象とは違うので)どんなライヴになるのか少し心配でした。その不安は結果的には雲散霧消しますが。

 

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クラブチッタ川崎、11月11日夜。混雑のない、しかし観客の賑わいがある。

 

2「ヴィ―ルス」は、上述の動画で見て覚えていました。今回のライヴで、「昆虫軍」で聴かれるような裏声の高らかな歌唱が聴けたのはこの曲でした。今回「好き好き大好き」のサビでもそのような歌唱にならず、「好き好き・・・」はロック調に歌われました。

戸川さんは、10・24のトークショーでも今回でも、コロナ禍の予防対策を注意深くなさっている感じで、のどのうがいも(これは基本的なのどの管理もあると思われますが)6曲目終了時に予告して、7曲目終了後にいったんしもてに退場されました。ここで、残された5人のメンバーのみなさんが、自己紹介など行いました。

 

8「諦念プシガンガ」は、最近LPも買って自分の記憶の中では新しい楽曲なので、親しみを感じており、ああここで聴けたと、感慨を覚えました。そして、平沢進さんの編曲による9,聴きごたえのある10を経て、1部終了。2部構成で休憩入りというのが、クラシックリサイタルのようで、僕は結構好きです。ロックコンサートでも経験していますが、そういうのも含めて、途中休憩があるのは落ち着いてその音楽会全体をゆったりと楽しめますね。

 

2部、11「玉姫様」を歌う際に、10・24のトークショーについて、「まじめなまじめなトークショーでしたよ」と仰いました。実際その通りで、しかし、本当に良い内容でした。いくらかは、私の音楽レビューブログのほうで書いた通りですが、その他には・・・

 

☆☆☆☆☆

トークショーで一番僕の心に響いた話の部分。

自分(戸川さん)はもともと地道に実力派として堅実に女優をやっていくと思っていたから、(当時歌手としての自分に訪れた)ブームが怖かった。でもそれは、今になってみると良かった。そういう時期があったおかげで、年をとっても、LP再発で吉田さんとトークイベントに出られている。あのブームがなければこういうこともなく、女優を続けていたかもしれない。(戸川さんはこのくだりを、ロッククライミングに喩えて話をなさっていました)

☆☆☆☆☆

 

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戸川純ソロデビューアルバム『玉姫様』。

 

12の新しい曲を歌う際に、戸川さんが座って歌っている理由がわかりました。腰を痛められたとのことでした。僕は、80年代の戸川さんのライヴに行ったことはありませんが、年を取って以前と変わっても、やはり生きているということに勝るものはないと思っています。特に、僕も年齢を重なるうちに、最近当たり前にいた人たちが次々に亡くなっていきます。そんななかで、生きられる人は、少しでも長く生きてほしい。戸川さんが生き残っているのは、素晴らしいしうれしいことだと思っています。異能の天才は早死にして伝説を作った、などという展開は要りませんから(笑)。

 

話をライヴに戻すと、

15「赤い戦車」は、素晴らしいアレンジで、ロックスペクタクルを感じるような演奏でした。戸川さんが”工事現場のような感じがしたんじゃありませんか”と仰ったと記憶しています。鉄道の駅の音や車掌のアナウンスなどを含んでいたのを再現されました。

 

そしてやはり、「好き好き大好き」を聴けたのは、あらためてうれしいなあと思います。

だんだんラストに近づくにつれて、このライヴを観る前にあった不安は消えて、戸川さん自身も時々立って動きも出てきて、歌も迫力が伝わってきました。アンコールは、ハードなパンクヴァージョンで、終了。本編終了時に、戸川さんが”今回はわりと音楽的なライヴだったんじゃないでしょうか”と。上述の動画を見た時のイメージよりはるかにダイナミズムを感じて、良いライヴに来て良かったです。コロナの状況でお客さんが来るかと思ったが来ていただいてありがとうございます、と。3月31日には、またライヴがあるとの告知も。

 

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良いライヴの夜。みなさん、おつかれさまでした。

 

僕は、80年代に知ってから35年以上の時を越えてようやく、今日ここにいることができました。いつも、何か大切な物事にたどり着くのが遅くなってしまう私ですが(遅ければその人が先に亡くなってしまうことだってあるのですから)、本当に良かったです。11月11日!