演劇系レポートです、お待たせしました(若干、アイドルイベントも含まれ)。
Ⅰ 独りの国のアリス(6月15日)
今月15日と、今日19日に観劇、以下の通り。
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ことのはbox 第19回公演
独りの国のアリス―むかし、むかし、私はアリスだった・・・・・・―
作:高泉淳子
演出:酒井菜月(ことのはbox)、岡崎良彦(ことのはbox)
シアター風姿花伝
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カツカツの生活を送る会社員ysheartが、雨の中、最寄り駅がどれも遠い劇場に着いたのは、15日(木)のことでした。18日午後10時39分、ようやっとツイート。
【15日仕事帰り雨の中開演に間に合い、久しぶりの劇場『 #独りの国のアリス 』。大事な人はいつかいなくなり、大事な人と新しく出会うことも難しいまま、年をとっていく。感受性の強い人ほどそれを悲観するけど他人は理解しないもの。自分の想いを信じて全うする外ない。明日も観ます。#ことのはbox】
《シアター風姿花伝》に来たのは、2017年池袋演劇祭の審査員として、ある演目を観て以来です。近くの交差点にピザ屋さんがあったのと、少し坂道なので、記憶していました(西武新宿線・下落合駅から聖母坂通りを上ってピザ屋のある信号で左折して歩いてすぐ)。
この木曜日(公演初日)は、お金が全然ないので、グッズはパンフレット、迷いましたが、買わずに帰りました。帰り際、迷って少し立ち止まったとき、近くにいた若い男性スタッフに「ありがとうございました」と冷徹に言われたことで「よし、今回は帰ろう」と決めて後ろ髪惹かれる思いをいったん断ちました。
雨の止んだ、下落合駅への坂道を、観劇後の余韻で反芻し、感想を頭の中で整理しながら歩き去っていくysheartでした。
ともかく今回は、演劇では久しぶりに、「面会」をすることができてうれしかったです。最前列で、間近で観た、かみりなさん(上之薗理奈さん)が見つけてくださって挨拶できました。千穐楽も来ますと告げました。
演劇において、終演後の面会というのは、ひとつの重要な文化だと私ysheartは思っております。コロナ禍の峠を越えて、こういう交流の時間が再生されていくのが楽しみです。
感想はツイートの通りですが、僕は、「不思議の国のアリス」(あるいは「鏡の国のアリス」)について、ほとんど知識が記憶に残っていないことを懸念しました。今回の観劇にあたっては、何の予習もしておらず、何も見ることがないまま、19時の開演を迎えたのです。
それで、観終わった後の週末、アリスの原作のあらすじを調べたり、その意味するところについて書かれた文献を図書館でざっと見たのですが、公演でポイントになりそうな場面や要素に関連する何かが得られることはほとんど無く、
やっぱり自分の感性で行けばいいや!と考え直し、
ともかく18日のツイート表明へ。この感想内容は、下落合駅までの坂道でまとまったものが、ほぼそのままです。
やはり、リピーターとして再訪すべし。千穐楽のチケットも買っておいて正しかった。19日、ふたたび、向かいました。
Ⅱ 独りの国のアリス(6月19日、千穐楽)
そのようなわけで、ここからが、今日19日、16時の部(15日初日と同様、「チーム葉」、上之薗さんのいるほう)を観たレポートです。
晴れて暑い午後でよかった。会社をさぼって来たので(←有給休暇です)、私服です。
下のカフェで一服して、開場時間に入場、
今回はパンフレット(2000円)入手!
がんばれ、かつかつ男!!
前回同様、最前列ですが、今回は、上手(かみて)側。
今回は、2時間あっという間。初日とは対照的な感覚で観れたことが意外でした。
誕生日パーティーの壮絶な父娘、鍵盤の演奏に合わせて歌ったり、たたかれて泣く3人(上之薗さん、上不あやさん、HIDEさん)や、社交ダンスからディスコ風のダンスに変わる場面など、騒がしかったり、ミュージカル風の歌が入ったり、ダンスが入る場面が面白く感じられました。
個人的には、2回とも、後半の自動歩行みたいな動きをする場面で、かみりなさんの腕と脚の運びが印象的で、ほかのキャストと見比べたりしていました。
そうだ、”アリス”で思い出したのは、”いつまでも子供のままでいたい、大人になんかなりたくない!”という成長譚で描かれる心模様でした。主人公の女性は、自分の長所を挙げてみようとしても、出てくるのは”独りよがり”などあまり良いとは思えない特徴ばかり。近づいてくる相手と頑張ろうとしても結局うまくいかない。
その過程で、自分の娘の幻影(上之薗さん演じる)と母娘のやりとりをする。未来にタイムスリップしたような場面でした。ここでケーキ落とさないようにしないとと余計な事考えたりしました。←
ともかく、僕は、千穐楽の(この公演では2回目の)観劇で、自分の今の想いに通じるものを感じて意義のある時間が過ごせました。いつかもっと広い舞台で再演されても遜色ないくらいの台本という気がする。2回の観劇で、テーマと表現双方から全体を見ることができたのが良かったと思います。
終演後の面会では、今回は上不あやさんにも挨拶できました。ツイートのリプで”あひる”とあったのが、上不さんの独自のキャラ設定ではなく、本作品の役名が”あひる”なのだと知ったのは、きょう出発前にちゃんと前回プログラムを見てからだということを笑い話にお伝えするの忘れましたが(笑)、お声をかけることができてほっとしました。後述するように、上不さんは、上之薗理奈さんとともに、4月のWSでお世話になったおひとりです。
そして、上之薗さんとは、愛知でのアイドル時代からの熱心なファンの皆様に混ざって挨拶、ハイタッチでしばしのお別れとなりました。
☆☆
キャスト:【チーム葉】(演出:酒井菜月)※ysheartは今回2度ともこちらを観ました。上之薗さん目当てだったのですみません(←)
花房里枝(elfin')、堀田怜央、親泊義朗、小久保隼、篠田美沙子、松崎貴浩、HIDE-Change The World-、柚木涼汰、上之薗理奈、上不あや
【チーム箱】(演出:岡崎良彦)
鍋倉和子、梅﨑信一(※”梅”の旁の下部は母)、如月せいいちろー、キム ヒョンシク、久行順子、依田達哉、西村尚恭、岩井清一、新上貴美、凪子、下地きく乃、松井結起子、村岡次栄
☆☆
Ⅲ 演劇ワークショップ
この公演を観るに至ったきっかけは、3月の大塚・萬劇場『カミサマの恋』で、上之薗理奈さんを知ったことです。※上之薗さんの当ブログ初登場は、第87話(2023年3月4日)「令和五年の演劇レポⅠ」
その後、上之薗さん出演のワークショップに参加、上之薗さん所属のアイドルグループを渋谷、横浜で応援・・と続き、そして今月15日仕事帰りの雨の夜に至るわけです。
「カミサマの恋」観劇後、上之薗さんがゲスト参加される演劇ワークショップの告知を見ました。
Peek The Theater
東京都墨田区のスタジオ
4月15日 13時
演劇のWS(ワークショップ)といえば、勿論、自分自身が演じてみる、というトレーニングの機会になります。私が初めて演劇ワークショップに参加したのは、15年くらい前のことで、あの時は、20人くらいの参加者中、私のような本当の初心者、素人は私を含めて2人しかいなかった、ほとんど舞台役者か、大学の演劇学生の参加で、内容も、即興や反射神経が重視されたものでした。ものすごく緊張しましたが、あの時の私は、まだそういうことに野心が高く、ぎらぎらと怖いもの知らずで楽しくできました。
ワークショップと言えば、その後も、ダンス(コンテンポラリー)のワークショップに参加したことがありますよ。それは、吉祥寺シアターで、松本先生という方の指導で。やはり、ほとんどがダンス経験や舞台経験のある参加者ばかりの中で素人の私が混ざっていました。
しかし、その後、紆余曲折を経て、表現者の道へ行かず、言語の仕事に就いて、海外でも仕事をして、・・・それでも、表現の世界、演劇やダンスを観る時間を限られた中で守り続けてきました。演劇祭の審査員や朗読の教室に参加などして、そういった世界とのよき緊張感ある距離を守ることで、自分の可能性をいつも開いていることを心がけていました。
ここ数年、いよいよ、生活に停滞、閉塞感を覚えていたところでした。
自分を再生させようと表現の世界に接してきた、あの緊張感を思い出すために、上之薗さんというアイドル出身者と交流したい人として、しかし、気持ちの奥ではそのような想いも込めて、実は考え抜いた末に予約を入れました(予算の関係で2部のうち、最初の1部のみの参加にしました)。
今の自分に、あの頃の牙が残っているか、僕は正直なところ悲観的だったのですが、参加者はおそらく全員が、上之薗さん(アイドルとしての)のファンの方々であり、年齢も高め、ワークショップの内容も、演劇の考え方を体験するという、一般にも安心な内容で、楽しく過ごすことができました。
スタッフ(ことのはboxの皆様)は、最初はいきなり”おはようございます”でなく、いったん、”いらっしゃいませ”だったのは好印象でした。僕は、だれかれ構わず”おはようございます”と涼しい顔で対応しがちな関係者を正直、よいと思いません。池袋演劇祭の時、そう思いました。あの時、観劇の予約の対応も全くひどい劇団があり、あたかもこちらに非があるかのような対応に終始しようとした態度は今もゆるせませんが。それは、今は別の話。話を戻しますが。
墨田区のワークショップは、上之薗さんのほか、上不あやさん、伊藤ケンタさんが参加してくださいました。
僕は、時に自分も主体にならないと、演劇など表現の価値はわからないし、表現者に近づけない、との考えもあって、ワークショップに参加した時期があり、朗読劇も体験したりしました。上記以外にも嫌な体験がいくらかありましたが、やってよかったと思っています。ただ、何年も前の思い出のまま終わらせたくなく、線としてつなげたかったのです。
私の好きな80年代の洋楽の楽曲で、カナダのロックバンド、ラッシュ(Rush、活動停止)の「タイム・スタンド・スティル」(Time Stand Still)は、次のような歌詞になっています。
”時が止まってくれるなら、後ろを振り返るのではないけれど、自分の周りにいる人や場所をもっと多く見まわしたい。/無邪気な心が消え去ってしまいそうだから。/
夏は速く過ぎ去り、夜の寒さは深まってゆく/子どもたちは成長し旧友たちは老いてゆく/そうして経験が消え去っていく”
僕はコロナの時期を過ぎつつある今、いよいよ自分の時間の意味と限界について考えるようになりました。
まさにその心境です。自分の経験してきたこと、感じてきたことは、何の意味があったのか。いろいろな場所へ行っていろいろな人と出会い、いろいろなものを観てきた。その感動はただ時間の経過の中、記憶が薄れるのにつれて消え去るだけだとしたら、
自分とは何だったのか!?
それをしっかりと、自分が時間を通り過ぎる中でしてきたこと、観てきて、感じたことをもう少し丁寧に見返してみたい。
あの時、体験したような緊張感で自分を追い込む体験をもう一度、生活の中に再現して生きたい、と思うようになっています。
雨の中(あぁ、あの墨田区のワークショップの日も雨だったんだ)、スカイツリーの景色を背に帰る僕の頭の中には、「タイム・スタンド・スティル」が軽快に流れていたのでした。
Ⅳ 『カミサマの恋』余韻は続く・・・
3月に大塚・萬劇場で観劇した『カミサマの恋』の裏話を、主演された木村望子さんが、ブログで記されていたのは、4月下旬のことです。「ウラ話&ウラ写真・望子のただいま稽古チュッ!」によります。
4月29日午前11時28分。
【今朝までに、13回分を拝読しました。お茶を淹れる話や、ダメ出しをノートというようになっている話が特に興味深く思いました(考えている顔の絵文字)。階段の話、演劇でなくても、何かの直前に気づくとか、私もやらかしそうな気が(口を開けて笑っている顔)。あと、酒井さんは鋭い(口を開けて笑っている顔) 感想多くすみませんが面白かったです】
作品ひとつひとつの出会いを、終演後も丁寧に思いめぐらすことが大切だと今は思います。
Ⅴ アイドルとしての上之薗さんを応援
5月に残念ながら、上之薗さんが、所属のアイドルグループ、Lily Wingsを卒業して、ゼストの女優として活動を続けることを知りました。僕は、もう少しアイドルとしての上之薗さんを見たいと思っていましたが、時は突然やってくるものでしょうか。
5月23日、雨の日の仕事帰り(この日も雨)、渋谷ストリームホールに初めて行きました。そこで、また、初めてLily Wingsのライブを観たのでした。
ここで、聴いた曲が収録されたCDを購入。
※この感想については、私のもうひとつのブログ(THE OTHER SIDE OF LIFE ysheartの部屋)に書いたので、参照ください。
ここでの特典会は、通常のアイドルとは異なって、写真撮影してお話ができるというものでしたので、私のTwitterで毎月末に発表する”チェキ数”には反映しておりません。が、大変価値のある時間が過ごせました。なお、かみりなさんとのチェキは、前述のワークショップで実現していました。
そして、上之薗さんがLily Wingsとして事実上最後のステージを果たしたのは、6月11日、今月の日曜日、あの横浜、アソビルド!!
※正確にはアソビルB1、YOKOHAMA COAST garage+
横浜はグループとしても初めてらしい。今回の特典は、メンバー全員との集合写真。
なんと、全員とお話ができるということで、これは予想外でした。
ここで、一度に、上之薗さんは勿論、ほかの3人のメンバー、畔柳愛里さん、杉本希花さん、中村花音さんとも楽しく話せました。愛知出身の引き出し全開、いやまだ話したりない(笑)
このほか、上之薗さんといえば、TBSの火曜のテレビドラマでセリフ付きでしっかり出演、エンドクレジットにも名前があり、感動しました。5月30日。
『王様に捧ぐ薬指』(橋本環奈さん主演)
横浜のライブ終わりよりも、今日の『独りの国のアリス』千穐楽のほうが、かみりなさん、寂しさが伝わってきたのが、僕にとっては不思議の国のアリスでした(←笑)
たぶん、アイドルは達成感をもって次へのステップとして考えていらっしゃって、むしろ、演劇、舞台など、女優としての道への希望で心高鳴っているのだろうとysheartは想像します。
以上、演劇レポートと、今回の主人公、上之薗さんに関連する、4月からの話題でした。
また、お会いしましょう。