ysheartの長い旅

観戦、観劇、鑑賞をきっかけに感傷に浸る旅の記録です。

#86 長い旅のブログ3周年

はてなブログの場所にお世話になって、旧ブログを引き継いだysheartのブログ、《ysheartの長い旅》がスタートしてから、今日2月26日でちょうど3年が経ちました。

 

今日の朝も夕方も、新宿にいましたが、3周年の今日は、夕方の出来事から映画を観てきた話を書きたいと思います。映画も、当ブログのテーマ”何処かへ行って何かを観てきた”のひとつですが、昨年秋のPC故障以来、ここにアップできないレビューが、一番多いのが映画記事という状態です。ともかく、今日の分を書いて弾みをつけたいところです。

 

戦場のメリークリスマス』4K修復版が、今年に入って再公開されていたので観てきました。新宿武蔵野館にて、3月2日まで上映予定。

 

1983年5月28日日本公開。

 

戦場のメリークリスマス。個性派揃い。

 

もちろん、当時話題となっていて、テレビなどで雰囲気や、セリフ、場面の一部を断片的に覚えて今日に至ったのです。しかし、まともに観たことがなく、今しかないと思い、今回初めて、しかも映画館で観ました。

 

(1)ビートたけしが「メリークリスマス、メリークリスマス、ミスター・ロレンス」というシーンが最後であること(劇中、ハラ軍曹の最期の言葉であること)、

(2)デヴィッド・ボウイ扮するセリアズ少佐が、坂本龍一扮するヨノイ大尉に抱擁し頬に接吻するシーンが、俘虜をめぐる切迫した空気を破るように進み出たセリアズの行動と、彼に魅かれる大尉の心のバランスを挫いた瞬間を描いているクライマックスなのだということ、

(3)あのころは、男性しか出ない、同性愛的に感じさせる描写がことさら話題になる変な映画だとしか思えなかった(すみません)のが、セリアズの回想シーンでは女性も自然に画面に登場しているし、むしろ男が中心にならざるを得ない戦場で生じる、ゆがんだ心理と葛藤、イギリスの寄宿舎の嫌な風習、ロレンスが”(日本兵たちは)過去に生きている”と言ったように、自分の正義というもので行動できない日本の軍隊の思想への批判的な視線が伝わってきて、結果的に、表面的な話題を超えた人間ドラマになっていることに、

 

本当に感動を覚え、映画って本当に(イイものですよねじゃないよ今言いたいのは←)、自分で実際に、できれば映画館で観ないとだめだな、テレビのワイドショーなどでエンタメ化された声や映像に惑わされてはならんな、と。

これほど痛切に感じたことは、そんなにないですね。

1983年5月に公開されてから、ああ!まもなくちょうど、40年が過ぎるんですよ。

長い旅だったなあ。今回、観ておいてよかったなあ。

 

映画評論のサイト見ると案の定、そこでも言及されている方がいますが、この映画は、デヴィッド・ボウイが全編通して、重要であると同時に、やっぱり、かっこいいですよ。その魅力が余すところなく表れている。途中、少しだけど俘虜たちと歌う場面があって、ミュージシャンとしての個性もちゃんと発揮されているし、芸術性の高い動作も随所に見られます。1983年だから、この映画の後あたりですね、「レッツ・ダンス」がヒットしたのは。

無粋な僕には、その魅力はわからなかったんです。否、今世紀になってから、かなり分かっただけでも良かった。

洋楽を通して特に、80年代半ばから後半にかけて、当時の僕(少年ハート)はすでに、彼の良さを知ろう理解しようという努力も始めていた、そういう自分のアプローチもあって今の理解に至っているかもしれません。われながら、そこはよくやったと褒めたい。

 

(ヨノイの坂本さんは、裁判のシーンで、セリアズに心を惑わされ始める落ち着かない表情をずっとカメラがとらえているのですが、演技がなかなか良いと思いました。俳優でないとは思えないし、そこに坂本さん本人による音楽が流れているのだから面白いなと。)

 

良さを知ろうと努力している時点で、僕とヨノイの感性とは違うんでしょうね。(笑)

 

最後に、本作には原作があって、

ローレンス・ヴァン・デル・ポストの短編集であり、彼自身の、ジャワ島での日本軍俘虜収容所での体験を描いたものだそうです。脚本は、監督を兼ねる大島渚さんと、ポール・マイヤーズバーグによります。

今だからこそ、思えるのかな、どうしてこの作品が国際映画祭でグランプリ獲れなかったのかなと。こういうので獲れないと日本映画は永遠に獲れないのでは?と、その時点で今の感性でいたら、言いたくなるかもしれません。

アニメ映画ばかりでなく、実写で俳優が心あるものを作ってほしいんですけどねえ。

 

新宿武蔵野館、面白い映画、観ることに集中できます。

 

よい映画でした。

こういうことがあるから、文化をレビューするブログがあるのは僕にとって有意義なのだとは、思っています。そして、そういう、書くことで自分の中に起きる奇跡的なものを信じているからこそ、ブログも旧ブログから通算すると、この3月4日で、17周年(!)となるだけ、飽きずにやっていられるのだと思います。

 

映画のレビューについては、やり残しているのが昨年の分ではあと3本、今年に入ってからは1本ありますので、早いうちに”蔵出し企画”的に公開したいと考えております。

 

以上、ブログ3周年でした。

ご覧になっている、心あるみなさま、ありがとうございます。

長い旅の4年目も、よろしくお願いいたします。がんばりましょう。

 

 

 

追記。

劇中にも、ヨノイ大尉の話す場面で、2・26事件のことが出てきましたが、今日、ブログの開設日も、映画観賞も、2月26日でした。